ゲームレビューのコーナー


音楽レビューに続き、私の独断と偏見でゲームのレビューをするコーナーです。 とはいえ、レビューと言うよりは、感想文・エッセイみたいなものになりそうです。

Review
No.03 ゼルダの伝説 風のタクト
No.02 カードヒーロー
No.01 MOTHER2


ゼルダの伝説 風のタクト
★★★★★★★★★ 9

2002年。ゼルダシリーズ8作目にあたり、 3Dゼルダとしては「時のオカリナ」「ムジュラの仮面」に次ぐ3作目となる。 64ゼルダにおける、リアルなグラフィックから大幅に路線変更し、 トゥーンレンダリングを用いたアニメのようなグラフィックが話題となった。

ゼルダシリーズの中でも群を抜いて賛否両論ある作品であるが、 つまるところこの作品の魅力はアニメチックなグラフィックとは裏腹の、 「男のロマン」的世界観を堪能できるところであり、 そこに惹かれるかどうかが評価の分かれ目であろう。

小さな帆船に乗り込み、広々とした大海原を、 雄大なBGMをバックに風を切って進む爽快感・開放感はシリーズ随一。 とはいえ、シリーズには様々なフィールド移動手段があり、 「時オカ」「トワプリ」のように、馬に乗って平原を駆け回るのが好きか、 「スカイウォード」のように、鳥に乗って空を飛び回るのが好きか、この辺りは完全に好みの問題ではあるが。

風のタクトにおいて終盤に重要な要素となる、 無人島を探索し宝の地図を見つけ宝をサルベージするという、 海洋冒険小説的コンセプトも、個人的には好きな要素の一つ。 ダンジョン攻略とはまた違う、 宝探し特有のワクワク感を味わうことができる。

先述したようにこの作品は賛否両論あるが、 その論点は「グラフィック」「大海原」「タライとホース」の3つに集約することができ、 それ以外の、例えば操作性や音楽などは他のシリーズと比較してもかなり良質であると言える。 つまり、風のタクトは、基礎点7点があって、 そこに上記した三要素について加点するか減点するか、あるいは、 という観点で評価することができる。

1点目の「グラフィック」は言わずもがな、 ネコ目リンクを受け入れるかどうか、という点にある。 この作品以降、3Dゼルダのグラフィックはリアル路線に戻ったため、 リアル路線のリンクが正統ではないのか、といった論点がある。
2点目の「大海原」。フィールドが広大なのは前作でも同様であるが、 島が点在する以外は特に何もなく単調であり、移動が面倒であるといった論点。
3点目の「タライとホース」は、終盤のダンジョン削除という点に加え、 タライとホースを探すだけの単調さ、 ルピーを集める作業の必要性によるテンポ悪化等が論点として挙げられている。

以上の3点を私の評価に照らしあわせて考えると、 1について、ゼルダシリーズにおいてはリアル系のグラフィックの方を支持したいのだが、 この作品はネコ目特有の良さがあると言えるので、この点は据え置き。
2については、先述したようにシリーズ最高のフィールドと考えているので+1。
3についても、確かにチンクルの解読料は暴利ではあると思うが、それ以上に宝探しが楽しいので+1。
そういった観点でもって、この作品の評価は9点とした。

Wii U向けに「風のタクトHD」が発売されるということなので、 機会があれば再びあの世界観に浸かりたいところである。


カードヒーロー
★★★★★★★★☆ 8.5

 2000年。「マジック・ザ・ギャザリング」も、「遊戯王」も、 「ポケモンカード」もやって来なかった私にとって、 (恐らく)最初にして最後のトレーディングカードゲーム。

 このゲームを評価する上で必ず言及される点はやはり、 カードゲームとしての完成度の高さであろう。 シンプルながら非常に奥の深いゲームシステム、 見た目からは想像できない戦略性の高さは他のカードゲームとも引けをとらない (と言っても他のカードゲームをよく知らないので正確な比較はできないけれども)。 今のゆるキャラブームを先取りしたような、すっとぼけたモンスター群も、 全体的なゲームの雰囲気に不思議と調和している。

 全く私事で恐縮だが、このゲームは、「大乱闘スマッシュブラザーズ(N64)」と並び、 私のインターネットライフに絶大な影響を与えた、という点でも印象深い。 コミュニティサイトに参加して、情報交換をし、チャットを楽しんで、 最終的には見よう見まねでサイトを作り・・・という、 私のインターネットライフの原点がこのゲームはある。 私のハンドルネームも、このゲームの「かいなげ」という技に由来している (と、由来を人に聞かれた時は答えていた)。

 残念、というか、心残りな点は、 このゲームの最高の面白さ、対人戦を殆どできなかったことと、 当時小学生と幼く、戦略を深く考える程の頭が無かったこと。 2007年に「高速カードバトルカードヒーロー」という続編が発売されたが、 それがもっと早ければ、あるいは当時、現在のように、Wi-fi通信を使って、 誰とでも対戦ができるようになっていれば、と思わざるを得ない。

 かつて私が制作した、カード一覧ページを再録しておく。これを見ることで、 当時の私がいかにこのゲームにハマっていたかを推察していただきたい。 そしてこのゲームは、人にそれだけのエネルギーを注がせてしまう魅力を持ったゲームである。


MOTHER2
★★★★★★★★★ 9

 1994年。糸井重里監修のRPG「MOTHER」の続編。
それまでRPGと言えば「剣と魔法の世界」であったのだが、 「現代」(特にアメリカを強く意識したとされる)の舞台背景を持ち込んだ点が大きな特徴。

 RPGを評価する場合において、 シナリオ、ゲームシステム、サウンド、キャラクターなど着目点は様々であるが、 つまるところ、それらの要素がうまく絡み合って 「その世界を創りあげているかどうか」というところがポイントである。

 シナリオ自体は「少年が旅先で仲間と出会い、 心身ともに逞しくなりながら悪者を倒す」という王道ストーリーであるが、 そのストーリーを固めるキャラクター(特に名も無きモブキャラ) の存在がMOTHERをMOTHERたらしめていると言っても過言ではない。
MOTHERシリーズを評価する上で必ず「特徴的なセリフ回し」という要素が挙げられる。 主人公やその周辺のキャラクターだけでなく、 先述したような「モブキャラ」のセリフに印象的なセリフが多いという点で 他のRPGと大きく異る。
どんなRPGでも、印象に残るセリフはあるが、MOTHERではそのようなセリフが数多くあり、 かつ人によって様々な場面になりうるという所が、他のRPGにはない部分であると言える。

 他のMOTEHRシリーズとMOTHER2で最も異なる点は、 明確に「現実世界」をモチーフにしている点である。 イーグルランドはアメリカ、フォギーランドはヨーロッパ(イギリスと地中海沿岸)、 ランマはチベット、スカラビはエジプト、魔境は中部アフリカのジャングル・・・というふうに、現実世界と対応させている。
MOTHERはアメリカとしながらもあくまで「架空」の街であり、 MOTHER3は完全に架空の世界が舞台であった。 MOTHERシリーズの特色であるセリフは、 現実世界の流行を取り入れていたりするなど、俗っぽいものが多く、 舞台設定をより現実めいたものにすることにより、リアリティを持たせている。
MOTHER2ではサウンドも「パロディ」的なものが多く、 ロックンロールやヒップホップ、アンビエントなど、 元ネタを知っていればニヤリと出来るものが多い。 加えて、各楽曲のクオリティが高く、世界観の構築に一役買っている。

 RPGは「世界を楽しむ」ゲームであるという位置付けなので、 サクサク進める難易度であればそれに越したことはない。 手間のかかるレベル上げは単純作業になりがちであり興を削いでしまう。
MOTHER2の進行難易度は比較的低く、 ドラムロール式HPやペンシルロケットなどのお助け要素が多いため、 それほど苦戦することなく、シナリオに没頭することが出来る。

 MOTHER2はMOTHERシリーズ最高傑作であると言って間違いないだろう。 『MOTHER』の世界観を余すところ無く楽しめるのがこの作品であるからだ。


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