Yellow Magic Orchestra
細野晴臣、高橋幸宏、坂本龍一によるテクノポップユニット。
クラフトワークなどと並び、電子音楽の先駆的存在として世界的に知られている。
83年に「散開」、93年に「再生」した後再び沈黙していたが、
近年ゆるやかに活動再開し、健在ぶりをアピールしている。
Yellow Magic Orchestra A-
Solid State Survivor A-
増殖 B-
BGM B
Technodelic B+
浮気なぼくら B+
Service B
TECHNODON C
Yellow Magic Orchestra A-
[総評]
1978年。個人的にはこれがYMOの最高傑作。
「エキゾチックサウンドをディスコミュージック風に」というコンセプトを踏まえ、
アルバム全体がオリエンタル的サウンドにまとまっている。
日本版とアメリカ版ではジャケットやミックス等が色々異なっており、
「アメリカ版は勝手にリミックされたのであんまり好きじゃない」とは細野談。
坂本龍一の代表曲「東風」はYMOの中でもフェイバリットな1曲。この曲をきっかけにYMOにハマっていった。
「Firecracker」は今でもBGM(特に中華的な物を紹介する場面)で耳にする名カバー。
いわゆる『トロピカル3部作』の延長のような「Simoon」が良い。
アルバム全体ではアメリカ版の方が好きなのだが、
「Simoon」のアメリカ版は尺八のような音がやや出過ぎているので、
個人的には日本版の方が好み。
▲
80年代ニューウェーブを形作った一つの要素である、こういう「似非オリエンタリズム」は、今現在、ある意味かなり貴重で、聴こうとしてもなかなか聴けるもんではない、と思われる。
Points:8.89
[曲採点]
Computer Game "Theme From The Circus"
★★★★★★☆ 6.5
Firecracker
★★★★★★★★☆ 8.5
Simoon
★★★★★★★★ 8
COSMIC SURFIN'
★★★★★★★☆ 7.5
Computer Game "Theme From The Invader"
★★★★★ 5
東風
★★★★★★★★★ 9
中国女
★★★★★★☆ 6.5
Bridge Over Troubled Music
★★★★★★ 6
Mad Pierrot
★★★★★★★★ 8
(Acrobat)
★★★★★★ 6
Solid State Survivor A-
[総評]
1979年。まさに『テクノポップ』を象徴する1枚であり、
日本国内外を問わず様々なアーティストに影響を与えた。
日本では「YMOチルドレン」なる括りのアーティスト達が誕生するほど、
このアルバムの持つ影響力は大きい。
YMOの代表曲「Rydeen」はやはり素晴らしい。最近ではフォークトロニカ風にリメイクされ話題を呼んだが、
こういったアレンジやライブ版よりは原曲の方が好み(ライブ版で最も好きなアレンジは「どてらYMO」)。
ディーヴォの影響を受けたビートルズカバー「Day Tripper」や「Solid State Survivor」など、
当時のニューウェーブサウンドからの影響も伺える。
「Absolute Ego Dance」「Insomnia」の細野2作品は、
コンピューターを用いたリズムの分析といったところに主眼が置かれているようだ。
全体的にポップなサウンドの中「Castalia」の静かな美しさが印象的。
『森』や『神殿』を思い浮かべるのは私だけだろうか。
▲
この作品を評価するのも貶めるのも簡単ではあるが、どちらにしても、日本における電子音楽の「古典」(あるいは皮肉めいた意味を含めつつの「聖書」)としての地位は揺るぎない。
Points:8.70
[曲採点]
Technopolis
★★★★★★★★ 8
Absolute Ego Dance
★★★★★★★ 7
Rydeen
★★★★★★★★☆ 8.5
Castalia
★★★★★★★★☆ 8.5
Behind The Mask
★★★★★★★★ 8
Day Tripper
★★★★★★★☆ 7.5
Insomnia
★★★★★★★☆ 7.5
Solid State Survivor
★★★★★★★☆ 7.5
増殖 B-
[総評]
1980年。曲と曲との間に『スネークマンショー』によるコントが挿入されている、
テクノポップ、ニューウェーブ、スカ、ファンク、民謡など、
多種多様なジャンルの楽曲が収録されている、といった点から
YMOのアルバムの中でも特に異色とされる作品。
「Nice Age」は良質なニューウェーブ。「Tighten Up」はベースが、
「Multiplies」はドラムのグルーヴ感が素晴らしく、
『YMOほどのリズム隊はそうそう無い』(坂本談)という言葉を裏付けるサウンドになっている。
曲採点からは省いたが、スネークマンショーのコント「若い山彦」は秀逸。
▲
「いいものもある、だけど、悪いものもある」というフレーズの汎用性の高さ。
Points:5.83
[曲採点]
Jingle "Y.M.O."
★★★★★★ 6
Nice Age
★★★★★★★★ 8
Tighten Up
(Here We Go Again - Tighten Up)
★★★★★★★☆ 7.5
Citizens Of Science
★★★★★★ 6
MULTIPLIES
★★★★★★★☆ 7.5
The End Of Asia
★★★★★★★ 7
BGM B
[総評]
1981年。それまでのポップな作風から一転、ダークな曲が並ぶアルバム。
その音楽性の高さから、次作「Technodelic」と並んで度々YMOの最高傑作に挙げられる。
1980年発表の坂本のソロアルバム「B-2 Unit」に影響を受け、
実験的な作風となった。細野・高橋の意向が強く出たアルバムで、
この2人はYMOの最高傑作にこの「BGM」を挙げている。
坂本不調期とはいえ「音楽の計画」と「千のナイフ」のセルフアレンジは良作。
高橋ソロの作風を決定付けた「バレエ」は独特の浮遊感がある。
ウルトラヴォックスまんまの「CUE」だが、ベースラインは後に細野のソロアルバム
「フィルハーモニー」でもよく用いられるなど多大な影響を伺わせる。
▲
Solid State Survivor、増殖と来てこれを聴けば確かに暗くて地味なアルバムではある。が、時代は進み、これよりよほど暗くて地味なアルバムはいくつもあるので、相対的にポップなアルバム。
Points:6.72
[曲採点]
バレエ
★★★★★★★☆ 7.5
音楽の計画
★★★★★★★★ 8
ラップ現象
★★★★★★ 6
ハッピー・エンド
★★★★★★ 6
千のナイフ
★★★★★★★★★ 9
CUE
★★★★★★★☆ 7.5
U.T
★★★★★★★☆ 7.5
カモフラージュ
★★★★★★ 6
MASS
★★★★★★ 6
LOOM
★★★★★★★ 7
Technodelic B+
[総評]
1981年。前作「BGM」と並んで、YMOの最高傑作としてよく挙げられる。
アルバムとしては『ミニマル』『サンプリング』の要素を取り入れたという点が特徴的であり、
後の細野のアルバム「フィルハーモニー」はこの『ミニマル』『サンプリング』路線を推し進めた作品。
前作「BGM」で不調だった坂本の意向が取り入れられているアルバムで、
坂本はこの作品をYMOの最高傑作に挙げている。
全体的に暗い雰囲気の曲が並ぶ中「体操」の明るさが異彩を放つ。
「Light In Darkness」はベースとバックのフレーズ、ストリングスの絡み合いが素晴らしい。
「Epilogue」はまさにYMOの終焉を感じさせる、ストリングスサウンドの重なりが美しい名曲。
▲
傑作であるということを評価する上で、「先駆的」「実験的」といった枕詞を付けてしまうと、それが一般化され陳腐化してしまった場合、傑作である条件を失ってしまう、と思うので、そういうフレーズを使うのはやめよう。
Points:7.29
[曲採点]
Pure Jam
★★★★★★★☆ 7.5
Neue Tanz
★★★★★★☆ 6.5
Stairs
★★★★★★☆ 6.5
Seoul Music
★★★★★★★ 7
Light In Darkness
★★★★★★★★ 8
体操
★★★★★★★★ 8
Gradated Grey
★★★★★★☆ 6.5
Key
★★★★★★☆ 6.5
Prologue
★★★★★★★ 7
Epilogue
★★★★★★★★★ 9
浮気なぼくら B+
[総評]
1983年。「レコード会社がYMOを止めさせてくれなかったので遊んだ」(細野談)という、
YMOお遊び期のアルバム。それまでの2作とは全く異なる、
ポップシーンを意識した、歌モノ満載の歌謡曲路線アルバム。
お遊び期とはいえ、サウンドとしては「Technodelic」の延長との位置付けであり、
サンプリングや登場したばかりのデジタルシンセの活用など、
先進的な音を追求している。
YMOを代表する迷曲「君に、胸キュン」はまさに80年代ポップスの象徴といえるが、
それ以外の楽曲は先進的でありながらもポップであり、
細野、高橋、坂本三者三様の特徴が顕著に現れたアルバムである。
唯一の細野坂本合作「WILD AMBITIONS」や「邂逅」「音楽」などが秀逸。
▲
成績優秀な奴が悪ふざけを始める、というケースが往々にして最もタチが悪かったりする。
Points:7.24
[曲採点]
君に、胸キュン
★★★★★★★☆ 7.5
希望の路
★★★★★★☆ 6.5
FOCUS
★★★★★★★ 7
音楽
★★★★★★★★★ 9
OPENED MY EYES
★★★★☆ 4.5
以心電信 -予告編-
★★★★★ 5
LOTUS LOVE
★★★★★★★★ 8
邂逅
★★★★★★★★ 8
希望の河
★★★★★★★☆ 7.5
WILD AMBITIONS
★★★★★★★★☆ 8.5
Service B
[総評]
1983年。散開コンサート中に発表された『散開記念アルバム』。
「増殖」と同じく、曲間に『スーパー・エキセントリック・シアター』のコントが挿入されている。
サウンドとしては、浮気なぼくらの延長と言うべきサウンドで、
実験的で難解な楽曲は殆どなく、文字通り「サーヴィス」な作品。
この作品を最後に、YMOは一旦眠りに就く。
『AOR風な感じっぽい』(細野談)な「Shadows On The Ground」は落ち着いて雰囲気の漂う佳曲。
坂本が『YMOでの自分の作品の中でも最もお気に入り』と語る「Perspective」はエンディングらしい名曲。
後に坂本本人が様々なツアーでピアノアレンジを加え演奏している。
▲
嫌々でもサービスなのだから良いと思うが、「お客様」は、嫌々であることに困惑し、それでも一応サービスを享受した上で、しかもクレームをつけたりするのだから厄介である。
Points:6.22
[曲採点]
Limbo
★★★★★★★☆ 7.5
The Madmen
★★★★★★★ 7
Chinese Whispers
★★★★☆ 4.5
以心電信
★★★★★★★ 7
Shadows on the Ground
★★★★★★★★☆ 8.5
See-Through
★★★★★★ 7
Perspective
★★★★★★★★☆ 8.5
TECHNODON C
[総評]
1993年。1983年の散開後、気持ちよく眠っていたYMOであるが、
突然その眠りから叩き起こされ発表したアルバム。
眠っていたところを叩き起こされたため後にメンバー3人が『嫌でしょうがなかった』と語る、
俗に言う『黒歴史』的なアルバム。
サウンドとしては、当時細野が傾倒していたアンビエントテクノを取り入れており、
散開前までのテクノポップ的サウンドとは一線を画している。
全体的にアンビエント的な楽曲が多く、明確な盛り上がりを持つ曲が少ないため、
そういった意味ではやや聴きにくいアルバムか。
「Be A Superman」「Hi-tech Hippies」は比較的ポップで、
シンセの音色が心地いい良曲。
▲
何事も中途半端は良くない。
Points:3.78
[曲採点]
Be A Superman
★★★★★★★★ 8
Nanga Def?
★★★★★★☆ 6.5
Floating Away
★★★★★★☆ 6.5
Dolphinicity
★★★★★★ 6
Hi-tech Hippies
★★★★★★★★ 8
I Tre Merli
★★★★★★ 6
Nostalgia
★★★★★★ 6
Silence of Time
★★★★★★ 6
Waterford
★★★★★★☆ 6.5
O.K.
★★★★★★ 6
Chance
★★★★★★ 6
Pocketful of Rainbows
★★★★★★★☆ 7.5
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