石野卓球

電気グルーヴのサウンド面を担当。 日本におけるテクノシーンの第一人者として知られ、 ハウスサウンドを軸としつつ、 80sディスコやミニマルテクノ等を取り入れた作風を特徴とする。 DJとしても活躍している。
Dove Loves Dub B
BERLIN TRAX B
throbbing disco cat C-
KARAOKEJACK C+
TITLE#1 B+
TITLE#2+#3 C+
Cruise B-

Dove Loves Dub B

[総評]
1995年。基本的に石野卓球のソロは、 電気グルーヴで展開するサウンドとはまた異なった彼の音楽的嗜好が強く発揮されているのだが、 今作は特にその傾向が強く、 後のソロ作品で顕著になるディスコティックなハウスから、 ブレイクビーツ、デトロイトテクノ、ダブ、チルアウトなど、 多種多様なテクノサウンドが盛り込まれている。
これ以降のアルバムは基本的に、ある同一のサウンドコンセプトに統一されたアルバムであるため、石野卓球作品で唯一、様々なジャンルの石野卓球的な解釈を楽しめる。 「Trip-O-Matic」「Monkey Dance」「Dream Baby Dream」といったダブ、チルアウトサウンドに、 当時の石野卓球の音楽的嗜好性が垣間見える。

[ピックアップ]
Bruce And Rhythm
★★★★★★★★☆ 8.5

Gtr
★★★★★★★★ 8

Dream Baby Dream
★★★★★★★★ 8


BERLIN TRAX B

[総評]
1998年。 「BERLIN TRAX」というタイトルからも伺えるとおり、 Love Parade、May Dayといったドイツのレイヴ体験や、 ベルリン発のジャーマンテクノサウンドに強く影響を受けたサウンドを展開している。 石野卓球のアルバムの中で最も「硬質・ハード」であるとしばしば表現されるように、 強力なビートの効いた、重厚かつダークなサウンドが最大の特徴。
トライバルビートのような「Polynesia」から始まり、 アルバム全体65分間どこをとってもハードミニマルテクノ一本という剛直なアルバム。 室内でヘッドホン音量最大にして聴いても良いが、 そのテンポや曲調なんかを考えると、 自転車通学・通勤のBGMとして流すと効果的・・・かもしれない。

[ピックアップ]
Polynesia
★★★★★★★★★ 9

Alles nach Nippon
★★★★★★★☆ 7.5


throbbing disco cat C-

[総評]
1999年。 アルバム名が示すように、7080'sのディスコサウンドが曲構成の根底に存在しており、 4つ打ちのビートと、ミニマルなシーケンスフレーズが細かく折り重なりあったサウンドがアルバム全体を支配する。 ただ、前作の影響が色濃いのか、ディスコをテーマにしたアルバムながら、全体的なアルバムの印象は暗めでかなり「ディープ」。閉塞的な印象の残るアルバム。
よく言えばアルバム全体を通してのコンセプトが明確で、曲それぞれに統一感があり、 曲間がシームレスなためアルバムとしてまとまっている。 悪く言えばアルバム全体で同じような楽曲が並ぶため、やや退屈。

[ピックアップ]
suck me disco
★★★★★★★☆ 7.5

anna〜letmein letmeout
★★★★★★★★☆ 8.5


KARAOKEJACK C+

[総評]
2001年。路線としては前作の「throbbing disco cat」を踏襲した、 ディスコティックなミニマルハウス、といったサウンドであるが、 ストイックなミニマルだった前作に比べると、 テクノポップ的な要素が随所に取り入れられ、 より強くディスコ・ハイエナジー的サウンドが全面に出てきており、 かなり明るい雰囲気のアルバム。 後の「TITLE#1」以降のソロアルバムや、 電気グルーヴ「YELLOW」などにも通ずる、 石野卓球サウンドの雛形といったアルバム。
シングルカットされた「stereo nights」に象徴されるように、 「きらびやか」なアルバム。

[ピックアップ]
turn over
★★★★★★★☆ 7.5

la peggi
★★★★★★★☆ 7.5

stereo nights
★★★★★★★★ 8


TITLE#1 B+

[総評]
2004年。 今作「TITLE#1」と次作「TITLE#2+3」はほぼ同時期に制作されたアルバムで、 実質的な3枚組作品となっている。 アシッド、ディスコ、ミニマルといった石野卓球サウンドにおけるキーワードが、 それぞれTITLE#1、#2、#3に対応している。 今作「TITLE#1」は「TITLE#2+3」に比べると、 アシッドなサウンドで、かつシンプルな4つ打ちでないビートで展開する曲が多く、 よりストレートにテクノ的サウンドが展開されている傾向にある。
解放的なテクノアンセム「The Rising Suns」が素晴らしいが、 こういった曲調はこの曲だけで、他は石野卓球らしい、 深度のあるサウンドとなっている。

[ピックアップ]
TBeisa
★★★★★★★★ 8

The Rising Suns
★★★★★★★★★☆ 9.5

GoodTimes
★★★★★★★★ 8


TITLE#2+#3 C+

[総評]
2004年。 「TITLE#1」から3ヶ月という短いスパンで発表された、2枚組アルバム。 ディスク1枚目の「TITLE#2」は、 わりとダークめな雰囲気だった「TITLE#1」に比べると、 より明るめなディスコ色の強いアルバム。 80年代ハイエナジーを彷彿とさせるサウンドや、 クラフトワークチックなエレクトロファンクなど、 アッパーなディスコサウンドが特徴的。 ディスク2枚目の「TITLE#3」は、 「TITLE#2」よりは比較的ダウナーなトーンを持つ曲が並び (といっても後半になるとディスコ色の強いサウンドになるが)、 石野卓球お得意のミニマルテクノが展開されている。
2枚組合計20曲、全体で100分強と石野卓球の中で最も大作のアルバムで、 フルで聞くのはさすがに大変かもしれない。

[ピックアップ]
Starlights in Sunshine
★★★★★★★☆ 7.5

Electronic Cock Sucker
★★★★★★★☆ 7.5

Mentoth
★★★★★★★☆ 7.5


Cruise B-

[総評]
2010年。 最近における石野卓球の活動コンセプトである、『非大作主義』というべき作品で、 6曲、40分強と今までのアルバムの中では最も短く、最小曲数の作品。 電気グルーヴでの活動と同様に、石野卓球サウンドを展開しながらも、 過去作(「throbbing disco cat」や「KARAOKEJACK」)なんかに比べると、 かなり肩の力を抜いたアルバムとなっている。
サウンドとしては前作「TITLE」シリーズと大きな変化はない。 前半3曲が抑えめなサウンド、後半3曲がアッパーめなサウンド、という点も、 前作「TITLE#1」と「TITLE#2」の関係に近い。 アルバム後半曲に良曲多し。

[ピックアップ]
Arek
★★★★★★★☆ 7.5

Y.H.F
★★★★★★★★ 8


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