砂原良徳

1991年〜1999年にかけ電気グルーヴのメンバーとして活動。 電気グルーヴ時代の愛称は『まりん』。 95年からソロ活動を開始し、優れた音楽センスで高評価を受ける。 音へのこだわりが強いようで、その影響もあってか近年はかなり寡作傾向にある。
Crossover B
TAKE OFF AND LANDING A
The Sound of '70s A-
LOVEBEAT A
liminal B

Crossover B

[総評]
1995年。電気グルーヴでのサウンドとは大きく異なる、 ヒップホップやヤン富田などの影響を受けた、 サンプリング主体のラウンジ、ブレイクビーツ路線のアルバムを発表し注目を集めた。 ここからのラウンジ路線3作は「飛行機3部作」と呼ばれるが、 今作は飛行機成分はやや控えめ。
全体的に良質なラウンジサウンド。「Whirl Pool」でのスティールパンが心地よい。 ダウンテンポを取り入れた「Elegant World」、 原曲は典型的なニューウェーブサウンドだったラー・バンドのカバー「Clouds Across The Moon」が良い。

[曲採点]
MFRFM (Music for Robot for Music)
★★★★★★★ 7

Stinger Stingray
★★★★★★★ 7

Whirl Pool
★★★★★★★★ 8

Silver Ripples
★★★★★★★ 7

The Long Vowel
★★★★★★☆ 6.5

Huraloop
★★★★★★★ 7

Muddy Water
★★★★★★☆ 6.5

Elegant World
★★★★★★★★ 8

Clouds Across The Moon
★★★★★★★★☆ 8.5

Overtime Work
★★★★★★☆ 6.5

Huraloop (Audio Active Remix)
★★★★★★ 6

MFRFM (Armed)
★★★★★☆ 5.5


TAKE OFF AND LANDING A

[総評]
1998年。飛行機3部作の2作目。 『Tokyo Underground Airport発のパンナム機のシュミレート』というコンセプトがある。 前作で確立したラウンジ、 ブレイクビーツに加え、ハウスやダウンテンポなどを取り入れ、 「飛行機の離陸・フライト・着陸」を表現する事に成功している。
アルバムのクオリティは高く全編ノンストップで聴ける。 「SONY Romantic Electro Wave」「Life & Space」の2つは、 路線は全く異なるもののダウンテンポの名曲。 80年代のフュージョン・スムースジャズを意識した「Sun Song '80」はこのアルバムの白眉。

[曲採点]
Information of TUA
★★★★★★★☆ 7.5

Cross Wind Take off
★★★★★★★☆ 7.5

Magic Sunset St.
★★★★★★★ 7

SONY Romantic Electro Wave
★★★★★★★★☆ 8.5

Sun Song '80
★★★★★★★★★☆ 9.5

2300 Hawaii
★★★★★★☆ 6.5

Count Down
★★★★★★ 6

Journey Beyond The Stars
★★★★★★★ 7

Life & Space
★★★★★★★★ 8 

No Sun
★★★★★★★ 7

The Good Timing of World of Love Song
★★★★★★★ 7

Summer
★★★★★★★☆ 7.5

My Love is Like a Red, Red Rose
★★★★★★★★ 8

Welcome to Japan
★★★★★★★★ 8


The Sound of '70s A-

[総評]
1998年。飛行機3部作の3作目。 『パンアメリカン航空のノベルティCD』というコンセプトで作られた。 前作で見られたハウス要素は殆ど無くなり、 コンセプト通りの、機内BGMとしてかかっているような、 イージーリスニングを感じさせるダウンテンポとなっている。
このアルバムも高クオリティ。前作とは趣が異なるが全編を通して聴ける。 BGMにも最適。「Theme From Take-Off」と「Theme From Landing」の2曲は マジー・ノワールというランコムの香水の販売促進レコードに収録されていた楽曲 「Magic Sunset」と「Life For Living」のカバー。 「Sun Song '70」は「Sun Song '80」の続編とも言うべきスムースジャズ調の良曲。 アジムスをサンプリングした「Swing The Clipper」も良い。

[曲採点]
Theme From Take-Off (Magic Sunset)
★★★★★★★★★ 9

The New World Break
★★★★★★★ 7

Clipper's Discoteque Break
★★★★★★★☆ 7.5

Sun Song '70
★★★★★★★★★ 9

Rhodes Funkey Dub
★★★★★★★ 7

747 Dub
★★★★★★★☆ 7.5

Swing The Clipper
★★★★★★★★☆ 8.5

Theme From Landing (Life For Living)
★★★★★★★★ 8


LOVEBEAT A

[総評]
2001年。それまでのラウンジ、ブレイクビーツ路線から一転、 エレクトロニカダウンテンポ路線に大きく転向した作品。 徹底的に音を減らした、これ以降の砂原良徳サウンドの象徴、基礎となった作品であり、 しばしばこの作品が砂原良徳の最高傑作として挙げられる。
最高傑作と呼ばれるだけあり、 無駄のないエレクトロニカサウンドが全編に渡って展開されている。 表題曲「lovebeat」は曲だけでなく、 このアルバムを象徴する幾何学的なPVも秀逸。 「spiral never before」「bright beat」の2曲が良い。 メロディーの後ろで鳴る和音の響きが浮遊感を感じさせる。

[曲採点]
earth beat
★★★★★★★★ 8

balance
★★★★★★★ 7

in and out
★★★★★★☆ 6.5

lovebeat
★★★★★★★★★ 9

spiral never before
★★★★★★★★★ 9

echo endless echo
★★★★★☆ 6.5

hold'on tight
★★★★★★★ 7

sun beats down
★★★★★★★ 7

bright beat
★★★★★★★★★☆ 9.5

the center of gravity
★★★★★★★ 7


liminal B+

2011年。前作から10年ものブランクを空け発表されたアルバム。 前作で確立した無駄のないエレクトロサウンドをベースとしているが、 『今の時代感を音に表してみたら暗くなった』(砂原談)というように、 アンビエント的だったサウンドから、やや実験的な、 いわゆるIDM風サウンドに変化しているのが特徴。
『メロディアスな曲にならないよう意図的に作った』(砂原談)というため、 特筆して優れた曲があるアルバムではないが、 それでもIDMのアルバムとしては聴きやすいほう。 「Capacity」が、淡々と世界の都市人口グラフを流すPVも含め良い。

[曲採点]
The First Step (Version liminal)
★★★★★★★ 7

Physical Music
★★★★★★★☆ 7.5

Natural
★★★★★★ 6

Bluelight
★★★★★★★ 7

Boiling Point
★★★★★★★ 7

Beat It
★★★★★★★ 7

Capacity (Version liminal)
★★★★★★★★☆ 8.5

liminal
★★★★★★★ 7


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