Jamiroquai

1992年にイギリスで結成。ジャズ・ファンクとクラブシーンが融合した『アシッドジャズ』を代表するバンド。だがその音楽性はアシッドジャズに留まらず、様々な「ダンスミュージック」をアルバム毎に探求している。
Emergency on Planet Earth B+
The Return of The Space Cowboy A-
Travelling Without Moving B+
Synkronised B
A Funk Odyssey C+
Dynamite C
Rock Dust Light Star B-

Emergency on Planet Earth B+

[総評]
1993年。 70年代のジャズフュージョン、ファンク、ソウル等をベースに、クラブミュージックの1つとして蘇らせた80年代末のムーブメント『アシッドジャズ』の流行の中発表された、ジャミロクワイのデビューアルバム。
デビュー作だが、アルバム全体のクオリティは他のジャミロクワイ作品と比べてもトップクラスの高さ。主要メンバーの多くが10代〜20代前半という若さながら、アルバムタイトルが示すような社会派な歌詞と、確固たる演奏技術を土台にした生演奏主体のサウンドが堪能できる。

[ピックアップ]
When You Gonna Learn
★★★★★★★★ 8

Too Young To Die
★★★★★★★★ 8

If I Like It, I Do It
★★★★★★★☆ 7.5

Music of the Wind
★★★★★★★☆ 7.5

Emergency On Planet Earth
★★★★★★★☆ 7.5


The Return of The Space Cowboy A-

[総評]
1994年。前作同様アシッドジャズ路線を追求している。クラブシーンと密接に結びついていたことを感じさせるように、アッパーなファンクサウンドと、落ち着いたトーンの曲が交互に流れる構成になっている。そういうこともあって、ダンサブルな印象の強いジャミロクワイのアルバムの中では最も落ち着いた曲が多く、メロウな雰囲気のアルバム。
鮮烈なデビューで注目を集めた1作目と大ヒットした3作目に挟まれていたり、後に発表されたベストアルバムから1曲しか選出されていなかったりと、些か地味目なアルバムであるが、アルバム全体のクオリティは高い。

[ピックアップ]
Stillness in Time
★★★★★★★★ 8

Half The Man
★★★★★★★★ 8

Manifesto Destiny
★★★★★★★☆ 7.5

The kids
★★★★★★★☆ 7.5

Mr.Moon
★★★★★★★★ 8

Morning Glory
★★★★★★★★ 8

Space Cowboy
★★★★★★★★★ 9


Travelling Without Moving B+

[総評]
1996年。世界的な大ヒットを記録し、『最も売れたファンクアルバム』としてギネスに掲載された、ジャミロクワイの代表作。 それまでのアシッドジャズサウンドだけでなく、サンバ風のサウンドやレゲエ、民族音楽、ドラムンベースまであるなど、バラエティ豊か。次作以降顕著になる、それまでのジャズファンク路線からの変容が窺える。
PVも非常に有名な「Virtual Insanity」で知られるアルバムだが、全体的に良質。今作と次作以降で音楽性が徐々に変質していくため、ジャミロクワイというグループの一つの到達点とも言える作品。

[ピックアップ]
Virtual Insanity
★★★★★★★★★ 9

Cosmic Girl
★★★★★★★★ 8

Everyday
★★★★★★★★☆ 8.5

DiDJital Vibrations
★★★★★★★☆ 7.5

Traveling Without Moving
★★★★★★★★ 8

Do U Know Where You're Coming From
★★★★★★★☆ 7.5


Synkronised B

[総評]
1999年。1998年にジャミロクワイのサウンドを支えていたベーシスト、ステュワート・ゼンダーが脱退した影響もあり、サウンド面で大きく変容しつつある時期のアルバム。 前作以前と今作以降の折衷的なアルバムで、わかりやすく過渡期といえる。
アルバム全体を通してダンサブルな楽曲が並ぶが、生演奏主体のサウンドだけではなく、打ち込みによるハウス的なサウンドへと変化しつつある点が最大の特徴。これ以降のジャミロクワイのアルバムは、そういったハウス風ポップサウンドが主体となっていく。

[ピックアップ]
Canned Heat
★★★★★★★☆ 7.5

Planet Home
★★★★★★★☆ 7.5

Falling
★★★★★★★☆ 7.5

Butterfly
★★★★★★★★☆ 8.5

King For A Day
★★★★★★★☆ 7.5


A Funk Odyssey C+

[総評]
2001年。 ハウス要素の強い、打ち込み主体のファンク的サウンドを中心とした構成ながら、ボサノヴァ風やアコースティック風など様々。多様とも言えるが、それまでのアシッドジャズとして軸があった時期のサウンドと比較すると、迷走していると言えなくもない。
(それが良いのか悪いのかという点に関しては非常に難しいところではあるのだが)以前までのアルバムと決定的に方向性を異にするアルバムと言え、特にこれ以降のジャミロクワイ作品は賛否両論ある傾向が強い。

[ピックアップ]
Feel So Good
★★★★★★★☆ 7.5

Little L
★★★★★★★☆ 7.5

You Gibe Me Something
★★★★★★★☆ 7.5

Picture of My Life
★★★★★★★☆ 7.5


Dynamite C

[総評]
2005年。 アルバムの主体となるのは、70年代のファンク寄りディスコサウンドを現代のクオリティで再現した、といった感じのサウンドであるが、前作「A Funk Odyssey」同様、いわゆるジャミロクワイ的楽曲と、非ジャミロクワイ的な楽曲がはっきりしているアルバム。中にはポップロックバンドのような楽曲があったりするなど、振れ幅は前作以上に大きい。
アルバムの根幹にあるキーワードは恐らく『ポップ』で、そういった点で軸はしっかりしているものの、アルバムを牽引するような曲が無く、全体の印象としてはやはり散漫。

[ピックアップ]
Dynamite
★★★★★★★☆ 7.5

Tallulha
★★★★★★★★ 8

Give Hate a Chance
★★★★★★★☆ 7.5


Rock Dust Light Star B-

[総評]
2010年。 前作から5年というブランクは過去最長だが、路線としては「A Funk Odessey」や「Dynamite」のものをを継承している。 (以前のアルバムからそういう傾向が顕著だったとはいえ)初期の、生演奏を主体としたアシッドジャズ色はほとんど消えてしまってはいるが、いわゆるジャミロクワイ的なポップサウンドが要所要所に表れている。
前述した「A Funk Odessey」や「Dynamite」との大きな違いは「She's a Fast Persuader」という会心の一撃の存在がある。疾走感のあるコズミックな秀作で、ここ数作のジャミロクワイ楽曲の中では最高峰と言ってよい。

[ピックアップ]
White Knuckle Ride
★★★★★★★☆ 7.5

She's a Fast Persuader
★★★★★★★★★ 9

Two Completely Different Things
★★★★★★★☆ 7.5

Never Gonna Be Another
★★★★★★★☆ 7.5


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