Ryoji Ikeda

電子音楽を手掛けるアーティスト。 エレクトロニカに分類されることもあるが、 その音楽性はポップミュージックというよりは現代音楽・実験音楽に近く、 サイン波やホワイトノイズ、電子的な雑音を緻密に構成した作品で知られる。
Matrix C-
dataplex C-

matrix C-

2000年。サウンドインスタレーション「matrix」をアルバムにしたもの。 サイン波とホワイトノイズが流れる空間を通るという行動によって、 音像が変化していくことを知覚するという作品。 Disc1は全体を通してサイン波が響き、ゆったりと音程が変わっていく。 Disc2はノイズによってリズムが形作られるが、 はっきりとしたメロディのようなものはなく、ただ淡々とノイズによるビートが流される。
サウンドインスタレーションが基ということで、聴く空間と密接に結び付いている作品。 アンビエントとノイズミュージックという、ある意味相反する要素を両立させた作品といえる(本来アンビエントミュージックは「環境音楽」なので相反するわけでもないのだが)。また当然ながら、ポップさという要素とは無縁のアルバムでもある。


dataplex C-

2005年。「『空間に広がる見えないデータの知覚』を探求する」 というコンセプトのアートプロジェクト「datamatics」 の作品群の一環として発表されたアルバム。 ホワイトノイズやパルス音、クリック音によって構成されるサウンドで、 ノイズによるビートが生まれては消える。 Matrix同様、ノイズ・アンビエントミュージックというべき作品 (ここでいうアンビエントは所謂チルアウト的な意)。
池田亮司作品や、こういったノイズ・ミュージック的な作品全般に言えることだが、聴く側がノイズサウンドに対して何らかの「美」を見出だせるかといった点で評価が変動する。ただのノイズだとみなしてしまえば評価は自ずと低くなるし、一方で緻密に構成されたノイズサウンドが心地よけれは高評価となる。


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