電気グルーヴ

石野卓球、ピエール瀧によるユニット。1990年の結成以降、 日本におけるテクノの第一人者として活躍、 2000年代前半の活動休止期間を挟みながら、 現在ではその特異なポジションを生かしたマイペースな音楽活動を行なっている。 代表曲は「Shangri-La」、「富士山」など。
FLASH PAPA D
UFO C-
KARATEKA D
VITAMIN B+
DRAGON B
ORANGE B+
A A-
VOXXX A
J-POP A
YELLOW B-
20 C
人間と動物 A-

FLASH PAPA D

[総評]
1991年。ポップ・ウィル・イート・イットセルフなどのいわゆる 『デジタルロック』に多大な影響を受けたサウンドが特徴。 これらのサウンドと、社会批判のような悪口のようなラップは、 初期電気グルーヴの大きな特徴である。
初期電気グルーヴの代表曲「We Are」や「電気ビリビリ」、 後に様々なリミックスがなされる「Cafe De 鬼」などの重要曲が見られるが、 個人的には、全体的にやや今ひとつといったアルバム。

[曲採点]
WE ARE
★★★★★★★☆ 7.5

生ゴミOH2
★★★★★ 6

マイアミ天国
★★★★★ 6

M.O.C
★★★★★☆ 5.5

Cafe de 鬼
★★★★★★☆ 6.5

ビコーズ
★★★★☆ 4.5

ラガモン
★★★★ 4

CATV
★★★★★ 5

Bingo!
★★★★★ 5

電気ビリビリ
★★★★★★★☆ 7.5


UFO C-

[総評]
1991年。CMJK脱退から砂原良徳加入の間の空白期に作成されたアルバム。 前作がほぼアルバム全編、ポップ・ウィル・イート・イットセルフの影響を多大に受けた曲調だったのに対し、 今作は人生時代の作品のリメイクを始め、多様なサウンドが収録されており、 石野卓球のサウンドプロダクトセンスを伺い知る事が出来る。
怒涛のナンセンスラップロック「B.B.E」、卓球のサウンドメイキングセンスが表れた 「オールスター家族対抗蛇合戦」「メカニカル娘」「ボクの姉さん」、 突き抜けたバカっぽさ「ちょうちょ」など、粒ぞろいに揃ったアルバム。

[曲採点]
B.B.E. (bull beam express)
★★★★★★★ 7

俺のカラダの筋肉はどれをとっても機械だぜ(甲)
★★★★★★ 6

MUD EBIS (cimimix)
★★★★★★ 6

メカニカル娘
★★★★★★★ 7

オールスター家族対抗蛇合戦
★★★★★★★ 7

俺のカラダの筋肉はどれをとっても機械だぜ(乙)
★★★★★★ 6

ちょうちょ
★★★★★★★☆ 7.5

Cosmic Surfin' (Ecstasy bathroom mix)
★★★★★☆ 5.5

東京クリスマス
★★★★★★★ 7

モンキーに警告
★★★★★★★ 7

ボクの姉さん
★★★★★★★ 7

ビーチだよ!電気GROOVE
★★★★★★☆ 6.5


KARATEKA D

[総評]
1992年。サウンド的にはこのアルバムが初期の最後となる。 この頃海外で流行していたアシッド・ハウスに興味が移りつつある一方、 オールナイトニッポンなどに起因する、 リスナーから求められるキャラクターとの葛藤に悩みつつ作られた。
電気初期を象徴する、批判的デジタルロックの集大成と言った作風であるが、 前作で多様化していたサウンドは今作では再び同じような作風に戻り、 全体としては第1作同様今ひとつなアルバムと言った印象。 そんな中、叙情的な曲と歌詞の「March」が光る。

[曲採点]
スネークフィンガー
★★★★★★ 6

Twist of the World
★★★★★★☆ 6.5

ザ・ケトルマン
★★★★★ 5

人事を尽くさず天命を待つ
★★★★★ 5

ドカベン
★★★★★☆ 5.5

Hi-score
★★★★★ 5

デマリンピック
★★★★★★☆ 6.5

KARATEKA
★★★★★★★☆ 7.5

March
★★★★★★★☆ 7.5

Let's go! 無間地獄
★★★★★★ 6

DS Massive
★★★★★☆ 5.5


VITAMIN B-

[総評]
1993年。ロンドンにて、レイブシーンやアシッド・リバイバルで盛り上がっていた影響 (『ロンドンがバッキバキだった頃』(石野談)を多大に受け、 全編に渡ってTB-303が使われた、より純粋なテクノサウンドを追求した。 それまでの批判的デジタルロック的サウンドから大きく方針転換したアルバムである。
ガーション・キングスレイの名曲「Popcorn」のカバーは、ホット・バターによるカバーと並んで 特に有名な「Popcorn」のカバーであろう。後の砂原ソロアルバムへの進展を伺わせる「Stingray」も佳曲。 そして何より、ある意味で電気グルーヴの象徴的楽曲「富士山」が存在感を放つ。

[曲採点]
Happy Birthday
★★★★★★★☆ 7.5

Disco Union
★★★★★★☆ 6.5

ハイキング
★★★★★★ 6

ニセモノ フーリガン
★★★★★★ 6

富士山
★★★★★★★★★ 9

Stingray
★★★★★★★★☆ 8.5

Popcorn
★★★★★★★★☆ 8.5

新幹線
★★★★★★☆ 6.5

Snow and Dove
★★★★★★ 6

N.O.
★★★★★★★ 7


DRAGON B

[総評]
1994年。前作『VITAMIN』で確立したアシッド・ハウス、 ハードコア・テクノ路線をより深化させた作風のアルバム。 アシッド・リバイバルのきっかけとなった作品である、 ハードフロアの「TB Resuscitation」というアルバムから多大な影響を受けている。
前作では比較的多様な曲調の楽曲が多かったのに対し、 今作は全編を通してアシッドハウス路線であるため、 突き抜けて良くもないが、悪くない楽曲が並ぶアルバムと言えるか。 中期電気グルーヴの代表曲「虹」が良い。Underworld「Rez」の影響を伺わせるテクノアンセム。

[曲採点]
ムジナ
★★★★★★★☆ 7.5

ポポ (Dubbing You Mix)
★★★★★★☆ 6.5

バロン・ダンス
★★★★★★☆ 6.5

カメライフ
★★★★★★★☆ 7.5

ザ・マーブル・メン
★★★★★★★ 7

お正月
★★★★★★☆ 6.5

カメレオン・マニア
★★★★★★★☆ 7.5

ノイ・ノイ・ノイ
★★★★★★★ 7

ブラジルのカウボーイ
★★★★★★★☆ 7.5


★★★★★★★★ 8


ORANGE B+

[総評]
1996年。それぞれのソロ活動を経ての2年ぶりのアルバム。 「VITAMIN」からのアシッド・ハウス、ハードコア路線はやや抑えめになり 歌詞やサウンドなどの雰囲気から、「VITAMIN」以前の作品への回帰がしばしば指摘される。 当時のテクノムーブメントの主流だった、 プロディジーやケミカルブラザーズなどの影響を感じさせる、 ビッグ・ビートのサウンドが特徴的。
ストイックな作風だった前作に比べ、 ポップさという視点から見ると聴きやすいアルバム。 初期アルバムとの類似が言及されるが、「UFO」が最も近いアルバムと言えるか。 『このアルバムに入ったばっかりに不遇なんだけどわりと好きな曲』(石野談)という 「スマイルレルスマイル」がよい。

[曲採点]
ママケーキ
★★★★★★★☆ 7.5

誰だ!
★★★★★★★ 7

キラーポマト
★★★★★★★ 7

VIVA!アジア丸出し
★★★★★★ 6

なんとも言えないわびしい気持ちになったことはあるかい?
★★★★★★★ 7

ポパイポパイ
★★★★★★★ 7

反復横跳び
★★★★★★☆ 6.5

スコーピオン
★★★★★★★☆ 7.5

スマイルレススマイル
★★★★★★★★☆ 8.5

Tシャツで雪まつり Including 燃えよドラゴンのテーマ
★★★★★★★☆ 7.5


A A-

[総評]
1997年。最大ヒット曲「Shangri-La」を収録した、電気グルーヴの代表的アルバム。 砂原良徳を含む3人体制期、あるいは電気グルーヴの全てのアルバムにおける最高傑作としてしばしば挙げられる。 それまでのハードコア、ビッグビートサウンドに加え、石野卓球と砂原良徳の音楽的嗜好を積極的に取り入れ、 今までのアルバムと比べても圧倒的に多種多様なサウンドが収録されている。
「パラシュート」は電気グルーヴにおける砂原良徳の最高傑作。 アルバム「TAKE OFF AND LANDING」ではこの路線をさらに追求している。 「あすなろサンシャイン」「Shangri-La」「Smoky Bubbles」の一連のメドレーが素晴らしい。 この3曲でこのアルバムの価値を相当引き上げていると言ってもよい。

[曲採点]
かっこいいジャンパー
★★★★★★★☆ 7.5

Volcanic Drumbeats
★★★★★★★ 7

ポケットカウボーイ
★★★★★★★☆ 7.5

ユーのネヴァー
★★★★★★☆ 6.5

パラシュート
★★★★★★★★☆ 8.5

ガリガリ君
★★★★★★★ 7

猫夏
★★★★★★☆ 6.5

あすなろサンシャイン
★★★★★★★★☆ 8.5

Shangri-La
★★★★★★★★★ 9

Smoky Bubbles
★★★★★★★★★ 9

ループゾンビ
★★★★★★★★ 8


VOXXX A

[総評]
2000年。電気グルーヴ2人体制になって初のアルバム。 「A」では全面に出ていなかったが、DJヘルやハードフロア、ポール・ヴァン・ダイクなど、 いわゆる「ジャーマンテクノ」に多大な影響を受けたサウンドが特徴。 『日本のヒットチャートなんかはほとんど無視してて、とにかく海外に意識があって、そこに全身全霊傾けてた』 (石野談)という言葉に象徴されるように、 新生電気グルーヴの全力投球(ただしとんでもない方向)が見れるアルバム。
曲ごとの点数が飛び抜けて高いというわけではないものの、 アルバム全編を通しての圧倒的な音の洪水ぶり、 序盤のポップなサウンドから一転、中盤からの、頭おかしいとしか評しようのない楽曲が続いた挙げ句、 終盤の純粋なジャーマンテクノサウンドという怒涛の展開が高評価。 個人的にはこれが電気グルーヴの最高傑作。

[曲採点]
地獄へ落ちろ電気グルーヴ
★★★★★★☆ 6.5

愛のクライネメロディー
★★★★★★★★ 8

Nothing's Gonna Change
★★★★★★★★★ 9

Flashback Disco
★★★★★★★ 7

浪曲インベダー
★★★★★★ 6

チキン・シー
★★★★★★★★☆ 8.5

密林の猛虎打線
★★★★★★★ 7

インベーダーのテーマ
★★★★★★★ 7

スッペスッペインベインベ
★★★★★★ 6

フラッシュバックJ-popカウントダウン
★★★★★★☆ 6.5

エジソン電
★★★★★★★★ 8

ジャンボタニシ
★★★★★★★ 7

TKO テクノクイーン
★★★★★★★★☆ 8.5

TXLテクノクイーン
★★★★★★★★ 8

レアクティオーン
★★★★★★★★☆ 8.5

ハロー!ミスターモンキーマジックオーケストラ
★★★★★★★ 7


J-POP A

[総評]
2008年。活動休止やスチャダラパーとのコラボを経ての、 前作から実に8年もの間隔を空けてのアルバム。 活動休止以降の電気グルーヴの方向性を決定づけたアルバムと言え、 その時その時にやりたい音楽をやる、 (「A」や「VOXXX」に比べると)良くも悪くも力を抜いた感じ などがこれ以降のアルバムの特徴となる。
電気グルーヴの中では最も異質なアルバムと言え、 これ以前にも、これ以後のアルバムにも見られない、音数を減らした曲が特徴。 808サウンドが全面に出た「完璧に無くして」、 浮遊感のある「アルペジ夫とオシ礼太」、シンプルな4つ打ちの「スーパースター」などが良い。 「リンギンベル」はおよそ電気グルーヴらしからぬサウンドだが、 このアルバムの異質さを象徴する秀逸な曲。

[曲採点]
完璧に無くして
★★★★★★★★☆ 8.5

エキスポ ヒロシマ
★★★★★★★★ 8

ズーディザイア
★★★★★★★ 7

いちご娘
★★★★★★★ 7

半分人間だもの
★★★★★★★☆ 7.5

モノノケダンス(Album Mix)
★★★★★★★ 7

アルペジ夫とオシ礼太
★★★★★★★★ 8

少年ヤング(Album Mix)
★★★★★★★ 7

スーパースター
★★★★★★★★ 8

地蔵
★★★★★★★ 7

シュチェチン
★★★★★★★☆ 7.5

リンギンベル
★★★★★★★★★☆ 9.5


YELLOW B-

[総評]
2008年。前作「J-POP」からわずか半年でのアルバム。 前作から非常に短い間隔でのアルバムだが、サウンドは大きく異なっており、 アシッド・ハウスがフィーチャーされたサウンドになっている。 「J-POP」以降の特徴となる『語感を重視したナンセンスな歌詞』は、 このアルバムで確立したと言ってもよい。
終盤の「Area Arena」「Fake It!」の本格テクノ路線が良い。 「VOXXX」の後半「TKO テクノクイーン」「レアクティオーン」 を彷彿とさせる曲だが、あれほど濃厚ではなく、かといって薄味でもない、 といった感じか。

[曲採点]
Mojo (CM Mix)
★★★★★★★★ 8

No.3
★★★★★★☆ 6.5

さんぷんまるのうた
★★★★★★☆ 6.5

Mole〜モグラ獣人の告白
★★★★★★★ 7

どんだけ the ジャイアント
★★★★★★★ 7

Acid House All Night Long
★★★★★★ 6

ア.キ.メ.フ.ラ.イ
★★★★★★ 6

The Words
★★★★★★★☆ 7.5

湘南アシッド
★★★★★★☆ 6.5

Area Arena
★★★★★★★★ 8

Fake It!
★★★★★★★★☆ 8.5


20 C

[総評]
2009年。そのタイトル通り、 電気グルーヴ結成20周年記念アルバムという位置付けで発売された。 前作でのアシッドハウス路線を引き継ぎながらも、 20周年記念アルバムということを意識してか、 歌謡曲やニューウェーブを意識したような歌モノが多く収録されている。
「電気グルーヴ20周年のうた」「ピエール瀧の体操42歳」の、 このアルバムにおける2大悪ふざけ曲が良い。PV込みで見るとなお良い。 「タランチュラ」は良質なポップ。 ORANGEあたりに入っていそうな「フォックス」の、独特のハネるようなリズムが良い。

[曲採点]
電気グルーヴ20周年のうた
★★★★★★★★ 8

タランチュラ
★★★★★★★★ 8

ポンコツ幻想曲
★★★★★☆ 5.5

何枚だ?
★★★★★☆ 5.5

猫とイスラエル
★★★★★★☆ 6.5

エキゾティカ
★★★★★★☆ 6.5

エンジのソファー
★★★★★★ 6

ピエール瀧の体操42歳
★★★★★★★★☆ 8.5

フォックス
★★★★★★★★ 8


人間と動物 A-

[総評]
2013年。先行発売されたシングル曲を中心とした全編歌モノのアルバム。 時代の流行であるEDMサウンドを全く無視したニューウェーブ、 ディスコミュージック風サウンドが特徴で、 それまでの「J-POP」「YELLOW」「20」の系譜に連なりつつ、 それらアルバムの集大成的な作品となっている。
「Missing Beatz」「Shameful」「Upside Down」 のシングル3曲はそれぞれ異なる曲調ながらどれも良曲。 ドリフの「ほんとにほんとにご苦労さん」を絶妙にサンプリングした「Prof. Radio」が秀逸。

[曲採点]
The Big Shirts
★★★★★★★★ 8

Missing Beatz (Album version)
★★★★★★★★ 8

Shameful (Album version)
★★★★★★★★ 8

P
★★★★★★☆ 6.5

Slow Motion
★★★★★★★☆ 7.5

Prof. Radio
★★★★★★★★☆ 8.5

Upside Down (Album version)
★★★★★★★☆ 7.5

Oyster (私は牡蠣になりたい)
★★★★★★★☆ 7.5

電気グルーヴのSteppin' Stone
★★★★★★★★ 8


←back