ルイージの孫は落ち着かない様子で城をうろついていた。 「ゾーラ2が心配なのもわかるが、少し落ち着いたらどうだ?」 さんたろうが話しかける。 「あ、すいません王様。どうもじっとしていられなくて・・・」 「ならば1つ頼みたいことがあるんだが、聞いてくれるか?」 さんたろうの表情は思った以上に深刻だった。 「何でしょうか?私にできることでしたらなんなりと。」 「実は私の玉座が急に光り出したのだ。今は止まったが、これはただ事ではないと思う。そこでだ――」 慌ててルイージの孫が言い返す。 「その原因を突き止めて欲しいのですか?お言葉ですが、手がかりが少なすぎです。」 「まあ慌てるな。実はとある古文書にこの現象について記載されたものがあってな、 その古文書によると___の森が関係しているらしい。 本当かどうかはわからないが、とりあえずその森を調べてはもらえないか?」 ルイージの孫は考えることなく答えた。 「わかりました。ただゾーラ2の回復を待っていても何も始まりませんし。」 「おお、すまない。ではこれを餞別として持っていくが良い。 旅の必需品である水や食料、それに医薬品だ。それと僅かだがお金も入っている。」 「ありがとうございます!では行って参ります。」 「期待しているぞ。」 ルイージの孫は___の森を歩き回っていた。既に夜が更けていた。 「そろそろ寝るところを探さないとな・・・ん!人が倒れている!」 すぐさま倒れている人のもとへ駆けつけた。 「何だ寝ているだけか・・・!!こいつはいつかのノーパ!!何故こんな所に・・・」 いにしえは何かに疲れ切ったかのように寝入っていた。 起こすのも気が引けたので、そのままにしておくことにした。 「うーん、どうしようか。」 とりあえず軽く食事を取り、そのまま寝る事にした。 いにしえは夢を見ていた。 彼の周りから次々と人が消えていき、最後には彼一人になるという孤独に満ちた悪夢だ。 そして目が覚めて悪夢から解放され、何気なく辺りを見回すと一人の男が寝ているのが見つかった。 「(あいつはいつかの絵師!何故あいつがここにいるのだ?)」 すぐさま、彼はルイージの孫を起こした。 「んぁ・・・お、目が覚めたか。気分は大丈夫か? とりあえず、食事にしようか。お前は何も持ってないだろ?俺のを分けてやる。」 いにしえは仮にも敵だったルイージの孫の態度にとまどいつつも、とりあえず彼の申し出通り食事を取ることにした。 ほとんど人間不信に陥った彼なので、『毒でも入ってるのではないか?』という考えも当然浮かんだが、何故か信じようと思った。 そして食事が終わり、ルイージの孫が話しかけた。 「俺はさんたろう王の命により、この___の森を調べている。 実は玉座が謎の発光をしたのだ。そしてその原因がこの森にあるらしい。 それで、何か知っていることがあったら教えてくれないか?」 もし何か知っていても、敵であるいにしえが情報をくれるとは到底思えなかったが、聞くだけ聞いてみた。 「(なんだ。ここは___の森か。 それにしても、こいつは伝説の賢者の一人、トカゲに近づいているわけか。 それに、こいつは俺に危害を加えるつもりは無さそうだし、こいつは使えるな。)」 そう思い、彼はおもむろに筆を取り出した。 実は彼はドクタースリーフ国を追放されてから1年間、伝説の筆や賢者に関することを調べ続けてきた。 そしてDr.Fに調べたことを漏らさないよう、自ら口を絶ったのだ。 『俺は喋ることができなくなった。だから筆を使い話す。 その発光は、伝説の賢者の一人トカゲの封印と共鳴している。封印が解け始めたから、玉座も光始めたのだろう。 そしてこの森にはトカゲの封印を完全に解き放つために必要な何かがあるらしい。これから俺はそれを探すつもりだ。』 「何だって!?賢者の封印だと!!??」 「(本当は画伯にも直接関係しているんだがな。まあそこまで言う必要はないか。)」 「(どうする、一度報告しに戻るか?しかしこいつの言うことが真実なのかはまだわからないし、その何かを確かめてから帰っても遅くはないだろう。) そうか。どうだ?一緒にその何かを探さないか?お互い一人では何かと危険だろう。」 『良いだろう。俺はいにしえだ。』 彼は賢者を味方に付け、Dr.Fに復讐するつもりである。そして、そのために今はルイージの孫と仲良くしておくことにした。 「俺はルイージの孫だ。よろしく頼む。」 と言って彼は手を差し出した。 『勘違いするな。別に仲間とかそういうものではない』と書こうとしたが、いちいち書き出すのも面倒だったため握手に応じた。 久々に握った人間の手は、思った以上に暖かかった。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 【あと書きらしきもの】 ちょっと賢者の話をするのは早すぎたかも・・・ 自分を少しでも本編に出したいという誘惑に負けました。