わし出すぎ





「まさか封印が解けたすぐ後にお前に会えるとは思わなかったな、やまりっく…」 トカゲが微笑しながら言う。 しかしやまりっくは無表情のままだ。 それを神風がおどおどしながら二人を交互に見る。 いきなりやまりっくにつれてこられたので状況をまだ把握していないようだ。 「オレが封印される時にもいたお前が何故何千年もたった現在にいるのか…と聞きたいところだが 今はそんなことはどうでも良い。」 目を細めながら言う。 「『ヴォルトハルバード』はまだ持っているみたいだしな…わざわざ持ってくるとはありがたいことだ。」 さらに笑みを浮かべながらトカゲが言った。 それをやまりっくが睨む。 「…神風…」 いきなり無言だったやまりっくに呼ばれて神風は反射的に答えた。 「は、はい!」 「ここから北東のアヤルバムスにある山にある者が住んでいる。悪いが助けを呼んできてくれないか…?」 いまだに目をトカゲから離さないやまりっくだが神風は確実に自分に言っていると分かった。 「でもやまりっくは…!」 「良いか!今前にいるのはあの伝説の絵師、「画伯」から能力を体内に宿らせた賢者の1人だ! 普通に戦ったって勝てるわけが無い!!」 いきなり怒鳴られて神風はびっくりした。 「でもあの武器は…」 神風が呟いた。 自分で自分がやったことに驚いたようだったやまりっくは息を深く吸い込んでまた言った。 「そいつは異世界から来ている者でその世界のエリートの絵師でもある。 呼んでくれたらかなりの戦力になるのだが…やってくれるかい?」 「…はい。」 しばらく心配そうな目でやまりっくを見た後、神風は答えた。 そして二人から走りながら離れていった。 やがて神風がまったく見えなくなるとまたやまりっくはトカゲへ顔を向ける。 「会話の途中にまったく割り込んで来なかった…何年もたってもマナーは一応残っているようだな。」 「まぁな、それにオレの目的はアイツじゃなくてやまりっく、おまえだからな。」 「それとも『ヴォルトハルバード』の事か?」 二人とも少し笑みを浮かべた。 「そうとも言えるかもしれない…な!」 いきなりトカゲが剣を向けて襲い掛かってきた。 いきなりの攻撃に動じずやまりっくも武器をすばやく取り出してトカゲの剣を受け止める。 二人の間に雷光が走った。 「ためらいも無く使ったところを見ると…よほど決意が固いようだな…」 斧槍を見ながらトカゲが呟く。 「当たり前だ…この武器をお前に渡す気はまったく無い。」 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― やまりっくとトカゲがザリードの森で戦っている間、神風はすでに絵を使い、 風に乗ってやまりっくの言っていた雪山に着いていた。 気温が急上昇しているアヤルバムス内でもこの山だけは寒いままだった。 何の準備も無く雪山に来ていた神風はかなり苦労していた。 「最近の異常気象で暖かい服なんて着ること無かったから…ちょっと魔法でも使ってみよう。」 手を上にかざすと温風がどこからともなくやってきて神風の周りを包んだ。 「これで大分楽ね…にしてもやまりっくが言っていたここに住んでいる人、どこにいるんだろう… ずいぶんと大きな山だからそう簡単に見つけられるとは…」 空を見てみると遠くに煙が見える。 周りが白いだけにはっきりと見えた。 「…あ、あそこ!」 気づくと同時にその煙に向かって走っていった。 しばらく足が雪に埋もれながら走っているとはっきりと見えてきた。 最近ではあまり見ない木製の家だった。 これでやっとゆっくりできる−とほっとしたが やまりっくに頼まれたことを思い出してまたその家へ向かって走り出した。 近くまで来てみるとかなり大きかった。二階建てではあったが屋根がかなり高い。 ドアを見てみるとライオン口にくわえられた取っ手がある。 コレもまたあまり見ないものだ。 神風はどこで知ったかも覚えていない「こういう取っ手はたしか入る前にノックするものだ」という 考えに任せるとした。 取っ手でドアをノックしてみたところ鈍い音が響く。 しばらく待った後、ドアが勝手に開いた。 説明できない妙な感じに負けずに、中へ入った。 部屋の中心に立ったとたん、後ろでドアが勝手に閉まったがもう不気味だとは思わなかった。 家の中は意外と暖かい、床に敷いてある赤いマットや壁にかけてあるタペストリーで 何となく気分が良くなった。 しばらく部屋中に飾られてある今ではまったく見なくなったものばかりを見ていると奥のほうに カウンターのようなものがあることに気づいた。 近づいてみると汚い文字でいろいろ書いてある紙があった。 「珍品、売ります、買います」、「雪山の旅の疲れを癒してくれる食料もあります」、 「遭難してしまった不幸な方にはただでスープを差し上げます」 ただの店のようだったので、こんなところにエリートの絵師がいるわけが無い、と少しがっかりした。 良く見るとカウンターの隅にベルが置いてあり、「オーナーがいない場合はベルを鳴らしてください」 と言う紙が横においてあった。 やまりっくの言っていた絵師の事もまったく見つからないし、聞いてみようかな−と思い、鳴らしてみた。 「…ン、いらっしゃい。」 奥から妙な訛りの付いた声が聞こえた。 しばらく待っているとボロ布を被ったようなヒョロっとした男がやってきた。 あからさまにローロック大陸の人じゃない…服装と目を見て神風は思った。 もしかしたらやまりっくさんの言っていた異世界の人−とも思った。 「ハイ、どうしましたか?」 良く聞いていないと何を言っているのか分からないほど訛りが強い。 「あ、あの…この近くに」 「ン、遭難したみたいに見えるね。よしスープを出そう、そこにあるテーブルに座って待ってくれ。」 いきなり止められて神風は少し怒ったが後ろを見るとさっきまで無かったテーブルがある。 オーナーの言うとおりに座るとした。雪山をずっと歩いていたせいだろうか、足がいきなりだるく感じる。 あまり時間もかからずにさっきの人が戻ってきてスープをテーブルに置いた。 香りだけで温まるように感じる。 「コノ店に客が来るのも久しぶりだね。」 そんなことを言いながら男は近くにあるロッキングチェアに座った。 「コンナ辺境に何のようだい?」 ゆっくり椅子を揺らしながら聞かれた。 神風はスープを覚ましながら答えた。 「あの…人探しを…」 「人探し?」 また途中で止められた。 「コンナところに人なんてそんなにいない。」 軽く笑っていたが神風は腹が立ってきた。 そして−やまりっくが言っていた人は絶対この人じゃない−と思った。 「ところで貴方もこんなところで何をやっているんですか?」 「店を開いている。」 すぐに答えられた、相当せっかちな人だ。 「こんなところで…店?人がくるんですか?」 「イヤ、限られた人しか来ない。」 何を考えているのか−と思ってしまう。 人があまり来ないと言うのに店なんて開いて商売になるのか… スープを少し飲んだ後聞いた。 「でも何を売っているんで…」 「大体が珍しいものだ、今ではもう見ないもの、珍しいもの、コレクターなどが欲しがるもの… 外界製の筆だってあるぞ?見たところ、キミも絵師だろう。」 「は、はい…」 ずばりと言われてびっくりした。 「と、言うことは部屋の隅にあるあの筆も…?」 薄い茶色で大きく、かなり派手な筆を指差した。 「アァ、いい目をしてますね。」 笑いながら答えられた。 いきなり話し方が敬語になったあたりに商人としてのキャリアが分かった。 椅子から立ち上がり、筆を両手で持ち上げて言った。 「コレはネ、ただの筆じゃないんだよ。」 「ただの筆じゃない?」 当惑気味に神風が答える。 「コレを手に入れるのにもかなり苦労しました…」 外を窓から見ながら言った。深い思い出があるのだろうか。 「コノ筆、普通の筆に比べるとかなり重いが……賢者の筆、って呼ばれているものでネ。」 「け、賢者の筆!?」 神風はびっくりした。何故そのようなものを普通に売れるのか… そして同時に呆れた。 「まぁ、そう簡単には買われないようにバカデカイ値段をつけているんだが。」 そう言いながら筆を元の場所に戻した。 「そのせいでチョットしたトラブルが起こるようになったがネ。」 苦笑しながら言った。 「じゃあ…あの筆も?」 今度は壁にかけてある水色の多い筆を指差した。 筆の中ではかなり大きいものだ。 「イヤ、あれは私のだ。」 「え!?絵師だったんですか!?」 男は笑った。 「マァ、こんなだらしないような人じゃ絵師でいいのか、って思うだろうネ。」 「あ、いや、そういうわけじゃ…」 気を悪くされそうだったからあわてて言った。 「モウ、気づいたかもしれないが私はコノ世界の者ではなくてネ、イレリースという雪国から来た。」 「イレリース…」 聞いたことの無い言葉に神風が確かめるように言った。 「ソノ大陸のイムルという村からきてネ、絵の召還の才能がエリート並みだ、ってよく言われた。」 異世界…エリート…突然神風が立ち上がって大声で聞いた。 「異世界のエリート絵師!?」 「ン?アァ、そうは呼ばれている。チョットちがうけど。実際に軍に入っていたわけじゃないシ。」 「やまりっくが呼んでいるんです!ザリードの森へ来てください!」 さっきまでのマイペースさがいきなり消えて男は目を顰めた。 「やまりっく…ザリード…最近騒がしいと思ったらもうそんな時間か…」 「賢者トカゲとやまりっくが戦っているんです!早く助けないと!」 神風が急いであれこれ言うが男はまたのんびりと話し始めた。 「ソウカ、でカネのことは何か言っていたカイ?」 「カネ」の言葉がやけに強調されて神風は呆れながら聞いた。 「お、お金?」 「ン、そうだ。」 男は頷いた。 「た、大陸がピンチなんですよ!そんなときにお金なんて…」 「悪いがネ、私だってお金なしで生きていけるわけじゃないんだ。 ちょっと危ない状況でネ。」 「大陸だって今大変なんですよ!」 神風が言い返す。 「このような店でカネが手に入らず、生きるのも大変なんだヨ。仕方ないんだけど。」 「やまりっくだって必死で戦っていると言うのに何もせずに家で座っているわけッ!!?」 いきなり大声で怒鳴られて男は目を丸くして神風を見ていた。 「…あ、すいません…」 さっき言ったことを思い出して神風は誤った。 「…ソウだナ。」 笑いながら男は言った。 「あんたの熱意もたいしたもんダ。私がバカだったミタイダ。」 「あ、いや…」 神風はまた誤ろうとするが止められる。 「それともその「やまりっく」のコトかネ。マァ、いいんだけド。」 「違います。」 神風はまた少し怒った。 「ン、スマンスマン。私はイレリースからのエレクトロ。キミは?」 「神風です。」 「ン、いい名前ダ。チョイとしたくをしてくるからまってクレ。」 しばらく待っているとエレクトロがマフラーを首に巻き、巨大なカバンを持ってやってきた。 「そ、それ…」 神風が呆気にとられて聞こうとする。 「昔から物を運ばないと気がすまないからネ。」 「そ、そうですか…」 しかしずいぶんと大きなカバンだった。 20、30キロ、いやそれ以上はあるだろうか。 「ア、筆を忘れちゃイカンネ。」 そう言って壁にかけてある水色の筆を取った。 あんな大きなカバンを持っているのに筆も持って大丈夫かな…と神風が考えていると さっき話していた賢者の筆と言うのも持った。 重そうな仕草はまったくしない事に呆気をとられた。 「ジャア、いくか。先に外にでてくれ、このカバン、ギリギリで入るくらいだからネ。」 言われるように神風はドアのほうへ行った。 また勝手に開くドアを気にせずそのまま外へでた。 外が一段と寒くなっていたのでまた温風を呼び自分を包ませた。 その後にエレクトロがドアを通ろうとしたがカバンがドアに挟まり、しばらく引っ張っていると取れた。 「サ、道案内をしてクレ。何年もいってないからナ、あの森は」 神風は頷いた。それと同時に家の後ろから声が聞こえた。 「残念ながら今回も行けないようだ。」 エレクトロはすばやく後ろを振り向き、ため息をついた。 黒いローブを付けた男が立っていた。 顔が下を見ているし、ローブがかなり大きいことから顔が見えない。 「オヤマー、また来ていたのカイ。しつこいネ、キミも。」 「今日こそ賢者の筆、渡してもらうぞ。」 その言葉をあいずに大勢の人がその者の後ろから現れた。 「客を連れてくるのはうれしいけド、残念ながら今は閉店ダ。」 小ばかにするような口調に男は少し怒ったようだった。 「…ふん、そんな口たたけるのも…今のうちだ!」 合図と共に大勢の人が波のように襲ってくる。 「フム、武器からして職業がバラバラカ…チョットこの筆持ってくれないカイ?」 いきなり神風の方へ向いて伝説の筆を無理やり持たせた。 「え?…え!?」 家で言われていたことも嘘ではなかったようだ。 かろうじて立っている事しか出来ないほど筆が重い。 雪をきしませながら足が埋もれていくのがわかる。 「ど、どうするんですか、これ!?」 「盗まれないようにしてクレー。」 敵軍へ向かって走りながら言った。 「そ、そんな事言われても…」 簡単に返事を返されて神風は困ってしまった。 こんなもの持ったまま走り回れない−と思った。 「…そうだ!」 すると神風は手を筆にかざし、それと同時にまた強い風が起こった。 「オー、魔法カ。珍しい能力使うネ。」 神風の呼んだ風によって筆が軽がるそうに持ち上げられていた。 「コイツラの目的はソノ筆ダ!ソレをもってザリードの森へ先に行ってクレ!後から付いていく!」 エレクトロへ向かって頷いた後、神風は来た道を戻っていった。 「その女を逃がすな!筆を取れ!!」 黒いローブの男が叫ぶと数名が神風の後を付いていった。 「オット、そうはさせないヨ!ダイヤモンドブリザード!」 エレクトロは筆をすばやくバツの形に動かし、まばゆい光が現れたと同時に 大粒の氷が強風と共に神風を追っていた追っていた者たちを囲んだ。 しかしそれを1人がよけて神風に向かって筆をふりはじめていた。 ヤバイ−という顔をし、エレクトロが聞き取れないような言葉を叫んだ。 とたんに人が筆をふっていた絵師に飛びつき、二刀で切りつけた。 いや、人の形をしていたが違う。人間のように立っていたが体は毛に覆われ、鼻も大きく、牙が鋭い。 「ラ、ライオン…?」 何故このような雪山に…と思った。 そしてはっとしたようにさっき切り付けられた絵師を見た。 血がまったく出ていない。だが苦痛はあるようだ。 「もしかして…絵?」 「ヨク気づいたネ。才能があるラシイ。」 敵の攻撃を止めながらエレクトロが言う。 「残念ながら今説明している時間はナイ。森へ急いでクレ…フロスティスピア!」 氷の矢を召還しながら言う。 それに神風は思い出したようにまた走り出す。 「スノーアヴァランチ!」 その声と共に空から大量の雪が雪崩のように降ってきた。 敵の大群はもはや5分の1しか残っていない。 「場所が悪かったネ。雪山は私の故郷みたいなところダ。ソシテ氷の絵を強化させる。」 黒ローブの男を睨みながらエレクトロが言った。 「ソレニ我イレリース族は昔からずっと絵師として生きてキタ。キャリアの長さが…ン?」 男はまったく動じていない。それどころか笑っているようだ。 「グルーミー…」 男がつぶやいた。 そしてゆっくり筆を持ち上げる。 「!?クッ、アイシクルウォール!!」 何かに気づいたようにいきなり目にも止まらぬ速さでエレクトロは筆をふった。 また光の輪が光ると地面から巨大な氷の塊が現れた。 「イラプション!!!」 いきなりの大声を合図としたように 男は手をエレクトロよりもはるかに早く動かした。 そしてその瞬間黒い影が辺りを包んだ。 完全なる黒、巨大な雪山さえも包み込んでしまった。 物凄い圧力を感じるような気がしてエレクトロは目を開けていられない状態になった。 耳が痛い、頭が割れる、呼吸が出来ない… 気づくと土に横たわっていた。 そう、土、極寒の寒さだった雪山から雪が全てなくなっていた。 荒れた土、消えてしまっている山の天辺、エレクトロの家まで吹き飛んでいる。 風が吹いた。いつものように雪は無かったがそれでも十分に寒い。 エレクトロは自分を地面から持ち上げた。体が何十年も動かなかったかのように硬く感じる。 周りには何も残っていなかった。空の雲さえも。 「闇の上級画…使ったと同時に消えたようダガ…何者だったんダ…?」 頭を抱えながら倒れる前に何が起こったか思い出してみる。 痛み、痛み、倒れる前のあの感覚が頭から離れない。 「様子がおかしかったからとっさに防御絵を使ったから生き残ったガ…なかったら確実に死んでいたナ…」 目を閉じて考えてみる。 外にでていきなりの襲撃、筆を神風に持たせて逃がして… 「…ン、神風!」 あの攻撃をもろに食らったらまず、命は無い。 「無事だといいガ…」 神風が走っていった方角をたどっていく。 ザリードの森が見えてきた、どうやら被害は森まで届いていないようだ。 時間からして神風は森まで間に合っていないかもしれない… そう考えるとぞっとした。 しばらく歩き、辺りを見回してみると人が倒れているのが見えた。 「神風!」 見つけた瞬間走っていく。 体がぐったりしている、が手を取ったところ、脈はあるようだ。 そして地面をよく見ると染料のような跡が付いている。 「神風を守ってくれたカ…恩に生きるゾ、ノイル。」 そう言ってその跡を撫でる。 「方角がチョウド、防御魔法の方角ダッタと言うのモ、不幸中の幸いと言うところカ…」 その言葉に反応するように神風が起き上がる。 「え、エレクトロさん…?ここは…」 とたんにエレクトロの表情が明るくなる。 「オォ、気づいたカ!ココはザリードの森の近くダ。さっきの連中の1人が上級画をぶっ放してナ… 気分はドウダ?」 「頭が…クラクラするんですけど…」 「アァ、それなら心配ない。しばらく待ってくれ。」 エレクトロは自分のカバンを地面へドスン、と落とし、中をあさりはじめて水筒を取り出した。 「レアルの葉から出来た茶ダ。頭がスーっとするゾ。」 コップも取り出し、茶を注いで神風にあげた。 「いきなり黒い光に包まれて…それで…」 神風は頭を抱えた。どうやら思い出したくないらしい。 「マァ、生きていたことだけでも幸いダ…賢者の筆も残っているようだしナ。」 今頃、そばに倒れている筆に気づき付け足した。 「筆のほうが心配だったって言うんですか?」 神風がむっ、として言い返す。 「ハハハ、そういう意味じゃナイサ。」 怒られていることをまったく気にしていないように笑われて神風はさらにむっ、とした。 「ソレデ?頭の調子はどうダイ?」 いきなり話題を変えられて急いで答えた。 「あ、はい。モウ大丈夫だと思います。」 「ヨシ、それじゃあ森へ行くか…あ、待ってくれ。」 そういうとエレクトロは筆をまたふった。 光の輪が現れてその中から神風が見たライオンが現れた。 「念には念を…ナ。」 そのライオンを撫でながら言った。 森へ向かって走っている途中に神風が聞いてきた。 「あの…ひとつ聞いていいですか?」 「ン、なんなりト。」 「そのライオン…絵のようなんですけど今まで見たこと無い物で…」 「コイツの名前は『ドナルシャン・ノイル』。我国イレリースの守り神としてされてイル。 そしてイレリース特有の絵でもアル。本に載っていなくてもおかしくは無いゾ…ソウソウ、 絵だといわれると機嫌を損なうから気をつけろヨ。」 そう言われてその「ノイル」をチラと見てみると確かに睨んでいる。 神風はすばやく目をそらした。 「守護画でアリ、自立心があるが召還した者には絶対服従ナ賢い奴だヨ。 その代わり、使うためには特別な許可が必要でテスト受けるなければならナイ。簡単なことじゃないヨ。」 「ずいぶんとすごい効果ですね…」 「マァ、そうなんだガ二体以上はどうしても描けないんダ。並大抵の人間じゃナ、体力が持たナイ。」 苦笑しながら言った。 「何千年の眠りから覚めたようでも戦略は変わっていないようだな!その戦い方、隅から隅まで覚えているぞ!」 斧槍から雷を飛ばしながらやまりっくが言う。 「昔の友であっただけのことはあるな!腕はまったく落ちていないということか!」 その雷を剣で打ち消し、火の玉を飛ばしてきた。 「スパートエレクトリシティ!」 やまりっくがそう叫ぶとヴォルトハルバードから大量の雷光が空へ向かって飛んで行き、急に止まると トカゲへ向かって降って来た。 「一つだけ聞く、お前は伝説の武器を全て集めて何をする気だ!?」 稲光をよけながらトカゲが答える。 「お前の想像できないようなことさ…アクアティックブラスト!」 トカゲの剣から水が物凄い勢いで噴出す。 「もらった!シマリングライトニング!」 やまりっくがそう叫びヴォルトハルバードを水へ向けると今度は一つの巨大な雷が水の中へ飛び込んだ。 その雷は水の中を通り、トカゲを直撃した。 しかし攻撃したばかりでやまりっくも鉄砲水を防ぎきれなかった。 「確実に当たるようにするが相打ちを狙う攻撃…まったく同じだな…」 トカゲが苦し紛れに笑う。 さっきの電撃が効いたらしい。 「スノーアヴァランチ!」突然の声にびっくりしながらトカゲは空から降ってくる大量の雪をよけた。 「やまりっく!」森の中から神風がやまりっくへむかって走ってきた。 後ろには伝説の筆が付いてきている。 「なっ!」やまりっくはその筆をみて声を上げられずには入られなかった。 「ば、バカ!トカゲの狙いは賢者達の伝説の武器なんだぞ!それをわざわざ持ってきてどうする!」 またいきなり怒られて神風は困った顔をしている。 「で、でも…」 「オイオイ、神風はアンタさんの心配をして戻ってきたんだゾ。それを怒ってどうスル。」 森の中から今度はエレクトロをノイルが現れた。 「ット、初対面の人にこんなこと言うのも悪いけどネ。」 「エレクトロ…か?イレリースからの?」 「アァ、ソレが私の名前ダ。キミとは始めまして、ダナ。」 いきなりの助けにやまりっくは当惑気味だった。 「デ、キミが賢者トカゲ、カ。まさか本当に復活したとはナ。」 やまりっくから視線をそらしトカゲを睨む。 しかしソレを気にせずトカゲはただ、賢者の筆を見ていた。 「…フン、今日はいきなりの救世主さんが来たからココまでにしてやるが… イノショウの筆がお前らにあるとわかった今、全てが終わったとは思うなよ。」 そういいながらトカゲは宙に浮いた。風が周りを取り巻くように吹く。 「オレに会いたくなければなるべくお友達と一緒にいることだな。」 捨て台詞のように言った後、急に風が強くなった。 3人はつい目を閉じてしまったが、風がやんで目を開けるとそこにはトカゲの姿はもう無かった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― もうなんというかね… 許してください_| ̄|○わしが小説の4分の3以上で現れてます。 と言うか出せずに入られませんでした、マジごめんなさい。 黒ローブの男が正体不明でごめんなさい。そのくせやばいほど強くてごめんなさい。 やまりっくさん、トカゲさん、神風さん、物凄いごめんなさい。 何かいろいろやっちゃってごめんなさい。 長くてごめんなさい、53KBもあって恐ろしくごめんなさい。 ヴォルトハルバードとプリズマティックセイバーの役割が 明かされなくてごめんなさい、賢者トカゲの考えも明かされなくてごめんなさい。 なんか絵技が急激に増えてごめんなさい。名前がキザ過ぎてごめんなさい。 そして謎が増えてごめんなさい。 一応5時間ほどかけました。 頭が痛いです、「グルーミーイラプション」受けたくらいに痛いです(ありえない コレできっとわしのキャラがさらに書きにくく…_| ̄|○ 「キミとは始めまして、ダナ」とかなによ、何様のつもりだよ!(知るか
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